税理士から見たクラウド会計ソフトを効果的に使う方法(freee、MFクラウドなど)

「クラウド会計を使って業務の効率化を!!」という掛け声が聞こえ始めて、もうだいぶ時間がたってきているように思います。

シェアを広げ続けているクラウド会計ソフト2社は、それぞれfreeeが2012年7月設立、マネーフォワードが2012年5月の設立ですので、すでに6年以上の月日が流れています。

個人的にはお客様に何度も導入をさせていただいてます。そして、その進化スピードやユーザーに対する距離感や思想のようなものを感じながらお客様に導入させていただくのですが、様々な点で従来の会計ソフトとの違いを感じています。

今回は、お客様が実際にクラウド会計を利用する際に「えっ?そうなの?」と驚かれていた点や、「その話もう少し前に聞きたかった~」とおっしゃられていた点などを中心に、クラウド会計ソフトを導入される際のコツをご紹介したいと思います。

何が便利なの?

業務の効率化というからには、明らかに、そして圧倒的に「便利になった部分」がなければなりません。

<便利になった部分>

「入力作業」

・通帳・クレジットカード明細などの原始資料を入力のためだけに用意する必要がない。

・そして、取り込める種類(予想以上に多種で多数)の会計資料は基本的には入力する必要がない

・売上についても、データのまま読み込めるものがあり、紙⇒入力という手間がない

・領収書についても読み込み機能があったりして必要項目すべてを入力する必要がない

・AI機能(?実際には学習機能の強化版)がついており、入力すればするほど手間が減る

などなど、上手に利用すれば間違いなく入力の時間は大幅に短縮できます

「集計作業」

・加工も作業もせずにグラフで見える化してくれます。設定によってはさらに分かりやすく見せてくれます。(ただし、インストール型のソフトで同じような機能が最初から組み込まれているものありますから、目新しさは低いです)

「作業環境」

・場所やOSに依存せず、ブラウザさえ使えればスマホやタブレットからも入力確認作業ができます。

・お客様と同時入力・確認が行える。

このあたりが「便利になった」といえる部分だと思います。

「便利」を最大限にするには?

特に入力の場面でメリットが大きいクラウド会計ですが、そのメリットを最大限に生かすためには、準備が必要になります。

freeeもMFクラウドも、通信回線を利用しつつ作業していくことになりますから、入力作業の際の効率を最大限に上げていくためには、「キーボードをたたかない」状態を作り出すことが理想といえます。つまり、取り込み作業プラスアルファで入力が終わるように設定しておく必要があります。

 インターネットバンキングの設定 

法人契約をすると有料である場合が多いので、そのコストも考えねばなりませんが、入力作業のことを考えるのであれば、すべての銀行(金融機関)口座でインターネットバンキングを利用するほうが良いです。

 買い物をクレジットカードや会計ソフトと連携可能な電子マネーで行うとともに、明細まで取り込める相手先から購入するようにする。 

クレジットカードや電子マネーを利用して経費の支払やお買い物をすれば、それはすべて自動で会計ソフトに取り込めることになります。それゆえ、できるだけ現金を使わず、これらの決済手段で支払いを済ませることが入力作業の効率化につながります。

ただ、注意しなければならないのは、クレジットカードの利用明細は日付と金額、そして相手先しか出てきません。仕訳としての必要十分といえるためには、さらに「内容」が無ければなりません。

amazonなどと連携すると内容まで取り込んでくれますので、そこまで取り込んでくれる相手先からの購入を心がけることで、入力効率はさらに上がります。キャッシュレス化が進んできていますから、さらに便利なサービスが出てくるかもしれませんので、常にチェックをしておくことでより一層の効率化が図られるようになると思います。

 可能ならば、請求書や給与計算も取り込めるように!! 

必須、、、というわけではありませんし、有料サービスだったりしますから、絶対にそうしてほしいというわけではありませんが、連携しておくと何かと便利でなのは間違いありません。請求書は履歴が会計システムからのぞけるようになりますし、給与計算のシステムには労働保険や社会保険関係の計算や書類の作成までができる機能が付いています。従業員が1~2人の会社でなければ、使っておいて損はないと思います。

 スキャナーやスマホを上手に使う 

預金・クレジットカードまたは電子マネー等での支払いでない場合、つまりは現金で経費を支払ったような場合は、基本的には従来通りのやり方になります。つまり、領収書を手入力することになります。が、これこそが大変な作業であることは入力担当者であればわかっていただけると思います。フォーマット、記載場所が違っているのは序の口で、手書きのものすらありますし、その字がとても読みにくいなんてこともあります。さらには金額のミス、ポイント決済が含まれているなどなどバリエーションが多すぎます。

領収書こそ一番に自動化してほしい入力作業なのですが、さすがにそれは技術的なハードルがまだまだあるようで、クラウド会計を使ったからと言って当然に楽になるものではありません。このあたりのことをクラウド会計ソフトのベンダー側も理解しているようで、最近ではベンダーが記帳代行サービスも付加サービスとして紹介しているケースもあります。ただ、そうなるとコストの問題が出てきます。

そこで、せめてもの自助努力としてスキャナーやスマホを上手に使う方法が考えられます。小さい領収書を上手にスキャンできるスキャナーもありますし、経費精算の形でスマホから読み込ませる機能もあります。スマホのカメラの高度化やOCR機能の強化もあり、スマホで領収書を撮影し、その場で簡易の仕訳を作っておけば、会計ソフトに流し込む作業自体は自動化できます。社長の一人会社のような企業ではこれは非常に便利に使えます。また、すこし前に入力作業者とスキャナーを使った入力作業とでその作業時間をベンチマークしたことがあるのですが、通常の入力作業者ではスキャナーを利用した入力にかないません。画像認識技術は益々の進化をしていますから、おそらくこの関係が逆転することはないでしょう。

ただし、会計ソフトの特徴を理解することや税務的に必要とされている証憑類の保存方法などを知っておくことは間違いなく必要です。下準備があってこその入力時間の短縮だからです。やみくもに読み込ませて、あらためて保存のための作業をしていたのでは2度手間になりますからね。

繰り返しになりますが、目指すべきは「キーボードをたたかない状態」を目指すこと。これがクラウド会計を利用するメリットを最大化するためにやらなければならないことだと考えています。

結局難しいのはどこなのだろう?

クラウド会計が世に出回り始めて、一気に業界を席捲するかと思いきや、なかなかその普及スピードが上がってきていない印象が強いです。

そして、その理由もなんとなくわかっています。中には同業者批判といわれるようなものもありますが、実際にお客様から頂いた声でもありますので、私が感じているクラウド会計の利用が広がらない理由を挙げてみたいと思います。

1、なんだかんだでコストが増加する(ように感じる)

税理士事務所のサービスには記帳代行サービスもあり、古くからの事務所、古くからのお客様は「記帳からすべてお任せ」」で依頼されている方も数多くいらっしゃいます。そうなると、インターネットバンキング契約を新たに結ばなければならない分だけコスト増になる、、、、といった声をよく聞きます。例え自社で経理をしていても経営者本人や経営者の家族が入力しているような場合では、同じように感じられる方もいらっしゃるようです。実際には短縮された入力時間×その方の時給とインターネットバンキングの費用との兼ね合いになるのですが役員報酬として定額の経費になってしまっていることが多いため、そのように感じられるのではないかと考えています。

通帳入力が多ければ多いほど、入力の効率化は進み人件費は下がるはずなのですが、通帳の数が増えれば増えるほどインターネットバンキングのコストが上がる、、、、。自社の状況をしっかりと判断してどちらを選択するか、という結論になりそうです。

(なお、現在でも個人名義(事業登録なし)であれば、インターネットバンキング利用料は無料の銀行が多いです。ですから個人事業の方で事業登録のない口座をお持ちの方にとっては、コスト増のハードルはないのかもしれません)

2、新しいシステムに対する抵抗

現状に慣れている期間が長くなればなるほど、新しいシステムやルールに対する抵抗は大きくなりがちです。残念ながらこの問題はお客様だけではなく「税理士事務所」側の問題でもあります。新しいシステムを冷静に評価して、効率が上がったり利便性が上がったり、間違いなく将来性が見受けられるのであれば、導入自体を迷うことではないと思っていますが、感情的な部分ですとか慣れるまでは既存のシステムよりも効率が落ちてしまう可能性を考えると導入を踏み切れないのかもしれません。

ですから、私たちがお客様にシステム変更を依頼される場合にはできる限り既存のシステムに近づけた利用方法を提案するようにしています。入力時にコードを使うのであればコード番号を統一化したり、記憶させている仕訳や伝票はそのまま使えるようにするなど、です。

そして、依然できた機能をできるだけ「やり方付き」でレクチャーさせていただくようにしています。

「前期比較試算表ー月次」を出すには、ここをこうやってああやって、、、という具合ですね。

まとめると、、、

freeeもMFクラウドも小さいけれども自社のシステムにプラスになる機能を持ったアプリやソフトを開発していた会社を買い取ったり、益々の増資をしたりと成長に意欲的です。そうなると、クラウド会計は今後ますます便利になっていくと予想できます。

独断と偏見ではありますが、個人的にはこれまで「将来性」だけが売りだったシステムがそろそろ本格的に「利便性」「効率性」の点で従来のソフトを凌駕し始めているように感じています。

ですから、コストの面で「もともとインターネットバンキングを利用していた」会社様で「新しいシステム抵抗なし!!むしろやってみたい!!」と感じていらっしゃるのであれば、是非早いうちに試してみることをお勧めいたします。

MJSかんたんクラウド会計:(当事務所のお客様は無料でご利用いただいております。)https://www.mjs.co.jp/account/software/for_client/kantan_cloud/concept.html

MFクラウドhttps://biz.moneyforward.com/

freeehttps://www.freee.co.jp/

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