「シェアリングエコノミー」×税金・・・?

「ウーバー」「Airbnb」くらいは聞いたことがあるんだけど、、、、という方もまだまだ多いような気がしますが、「モノ」を所有する、「労働力」を専有する、「場所・空間」を所有する文化が徐々に(経済的)合理性のもとに大きく変化しているのは間違いありません。

シェアリングエコノミーとは、簡単に言えば「持ってはいるけど活かしきれないなぁ」という人と「所有するよりシェアする方が安いし便利!!」という人とを仲介する仕組みで生み出される経済のことで、それがインターネット技術、ソーシャルメディアの発展とともに一気にマーケットを拡大してきています。詳しくは経済産業省の「産業構造審議会の資料」や総務省が作成している「情報通信白書 平成27年版」に書かれていますが、もはや絶対に無視できなマーケットになるだろうと考えられています。

なんのこと?という方でも”民泊”や”カーシェアリング”なんて言葉は聞いたことがあるでしょう。まさにそのサービスがシェアリングエコノミーサービスになります。

当事務所もお客様のところへお伺いする際にカーシェアリングサービスを使っています。

クルマを買う代金とサービスの利用料だけを比較してしまうと、長期間の利用を前提とするならば買ったほうがお得なような気もするのですが、実際に所有するとなると「駐車場代」「車検費用」「自動車税」などの維持費が発生し、その維持費を考えれば「シェア」に軍配が上がります。

と言っても、私の場合はクルマを「所有すること自体」に満足感を感じる部分も捨てきれず、一台は所有しつつシェアリングサービスを利用をしています(笑)。

 

「家」「自動車」といった高額なモノをシェアするサービスだけではなく、利用者サイドのシェアしたいというニーズを上手に汲み上げる事業者が出てくれば、この先本当に多種多様なシェアリングサービスが出てくるかもしれません。人の技術や経験や時間をシェアするサービスとしてはいわゆるクラウドソーシングがありますし、そのほかにも「あ、こんなサービス欲しかった!」というサービスが次々と生み出されているようです。

どんなサービスがあるの?

シェアリングエコノミーは主に5つの領域に分類されるそうです((一社)シェアリングエコノミー協会作成の資料から))。

その5つの領域とそこで提供されているサービスを簡単にご紹介します(コメントは個人的な感想です)。

シェア×空間

Airbnb:もう世界的に有名なサービスになってますよね。海外に宿泊する場合でもホテルや宿泊施設ではない誰かの家・部屋に泊まるという発想に驚かされましたし、そこでお金が生み出せることにも驚いたことを覚えています。

SPACEMARKET:割と早いタイミングでここを知ったのですが、映画館やお寺が借りれるなんて思ってもみませんでした。いろんなスペースを貸したい・借りたいというニーズをマッチングさせるサービスを上手に展開しているなぁと感じます。

STAY JAPAN:ザ・民泊仲介サービスです。一度は利用してみたいですね。

nokisaki parking:もう、本当に「その発想に脱帽」です。よそ様のご自宅の駐車場を予約できるなんて誰が考えたんでしょうね?普通の駐車場ももちろん使えます。大事なことは「予約」できること。目的地の近くにコインパーキングがあるかどうか、あったとしても空いているかどうか、そんなことで悩むことを無くしてくれるサービスだと思います。

シェア×モノ

メルカリ:説明不要ですね。シェア・・・というとちょっと違和感がありますけどね。個人売買仲介サービス、、、簡単に言えばこんな感じですかね。

mechakari:買うより借りる・・・洋服ならどうなるかな?を分かりやすく体現してくれるサービスです。月額固定で洋服は「借りるもの」という文化が出来上がる可能性も感じます。

ジモティー:シェアリングエコノミーなんて言葉が聞こえてくる前からあったような気がします。分かりやすく言えば「掲示板」。でも使い方次第でいかようにも便利になることを教えてくれてるようなサイトです。

air closet:こちらも洋服のシェアサービス。借り放題コース!!なんてのがあります。月に1万円以上洋服代に使っている人は検討してみてもよいかもです。しかもスタイリストによるコーディネートの提案もあったりするそうです。

Laxus:こちらは「ブランドバッグ」のシェアサービスです。持っている人は貸して収入を得ることができ、使いたい人は借りることができる。使いたい人が絶対いるなぁと容易に想像できるサービスですね。

シェア×スキル

crowdworks:こことランサーズと掛け持ちなんて方、結構いらっしゃると思います。ちょっとした自分の技術を売りたい方には最適の場所ですし、WEBサイトの修正・会社ロゴ・商品ロゴをちょこちょこっと頼みたい事業者、お互いにとって欠かせないプラットフォームになっていると感じます。私もよく覗いてます。

ANYTIMES:プライベートレッスン、「家事代行などちょっとした「頼み事」をお願いしたい人」と「その時間と技術と意欲がある人」のマッチングサービスです。もはや「猫の手も借りたい」なんて言葉は必要のない時代が来るのかもしれない、、、ちょっと大げさに言いすぎました(笑)。でも便利!!

coconala:クラウドソーシングといえばそうなんですけど、もう少し砕けた感じです。「少しくらいなら自分もできるかなぁ」でお小遣い稼ぎ、そんなイメージです。

AsMama.Inc:子育てシェアってことらしいです。託児、送迎はもちろんのこと、教育なんかもシェアしちゃえ!!ってことのようです。使い方によっては「心強い」サービスになるでしょうし、今後女性の社会進出がもっともっと進んでくれば、ある意味社会の仕組みの一つとして位置づけられるかもしれないサービスだと思います。

TIME TICKET:他人の時間を買えます!!ってことですし、自分の時間を売れます!!ってことを仲介するサービスですね。もちろん、時間を買って好きなことをやらせる!!ってことではなくて、「○○の相談を〇〇円/時間で売ります」という情報があって、そのタイムチケットを買うことで成立するサービスです。ちなみに、、、同業者が結構います。勤務税理士なら結構なお小遣い稼ぎができるかなぁって気もしますね。

シェア×移動

UBER:はい、こちらも説明不要だと思います。誰かに乗せていってもらいたい!近所で車を使ってお小遣い稼ぎ!というニーズをマッチングさせるところからサービスが始まったはずが、どんどんその射程を広げてきていますね(UBER EATS(食材の配達)、UBER JUMP(電動自転車)、UberFreight(貨物輸送))。「誰かにお願いしたい!!」の「誰か」は思いのほか近所にいるんだってことに気づかされるなぁと感じました。

notteco:ちょっと遠くまでおでかけ!となったときに一人で長距離を車で移動するとコストがかかりますよね。下手をすれば公共交通機関を乗り継いだほうが安かったり。でも何としても車で行きたかったり、行く必要があったりって時に、経費を「ワリカン」してくれる同乗者がいたらどうですか?しかも楽しい会話付き・・・かもしれません。そんな感じの「クルマで移動したい人」、「乗りたい人」のマッチングサービスです。

COGOO:大学で利用できる自転車の利用サービスです。一部の国立大学でのみ利用可能のようですが、「千葉大学」も利用できるようです!!

COGICOGI:自転車シェアリングサービスです。日本全国の都市で実験とサービス運用を行っているようです。10年前くらいでしょうか、フランスでの自転車シェアリングサービスを見て思ったことは「何が違うって、自転車のデザインが違うなぁ・・・ママチャリではこんな風にはならない(街の風景に溶け込んでる感じが印象的な映像だったので)」でした。ただ、そのフランスではサービスが終了してしまうという結末になってしまっています。日本ではどうなるでしょうか?

Anyca:自分の車、、、乗ってないなぁ・・・という方、結構いらっしゃるはずです。乗っても週末だけとか、前回の車検からカウントしても片手で足りるなんて方、その車でお小遣いまでは難しいかもしれませんが、維持費くらいは稼げるかもしれませんよ。クルマを貸したい人と借りたい人のマッチングサービスです。

シェア×お金

Makuake:日本におけるザ・クラウドファンディングサービスですね。クラウドファンディングをお金のシェアということにちょっと違和感がありますが、ジャンルで分けるとそうなるようです。

READYFOR:こちらもクラウドファンディングサービスです。実現したいことがあって、それが多くの方の共感を呼べる!!と自信がある方はやってみるとよいでしょうし、覗いてみるだけでも面白いですよ。

Crowd Realty:不動産特化型のクラウドファンディングサービスです。といってもイマイチピンとこないと思います。簡単に言えば、不動産に投資をして一儲け!と考えている方が見ている方たちに「一口どう?」とやっているサイトですね。

で、「×税金」ってのはどういうこと?

それで、多分この「×税金」って方が気になる方は多いと思います。

一体どういうことか言いますと、、、

「納税に関する環境を現在の経済実態に応じて整えていきましょう」という審議会の中でこのシェアリングエコノミーの話が取り上げられて、もっと上手に「納税のシステム」を作っていきましょう!!なんて話がされてることを伝えたかったんです。

マーケットの拡大は確実、しかもプラットフォームビジネス的な性格があるから、何とか上手に仕組みづくりをすることで、例えば「源泉徴収」なんてことができるんではないか、、、、そんなことだったようです。

確かに、シェアリングサービスが普及するということは、一部の税金の仕組みを根本から考え直す必要がでてくること意味します。

つまり、モノを所有するという部分で徴税システムを作り上げて(不動産取得税、自動車取得税等)、あとは待っているだけで税金が入ってくるこれまでのシステム(固定資産税、自動車税)では納税してもらえる額が減ってしまうことになりますから、現状のシステムをただ維持するわけには行きません。

また、給与所得として補足しづらい所得が必然的に発生することにもなります。

分かりやすく言えば、クラウドソーシングや家事代行、ちょっとしたお助けサービスなどのように直接人や会社にお金が流れる仕組みでは、そこで発生する収益を補足しづらく、徴税・納税という観点でいえば正確な申告と適切な納税を「待つ」ほかありません。

さらにはクラウドファンディングのように直接的にお金がシェア(?)される仕組みに対しての課税方法(出資、寄付、購入(売買))に工夫の余地はないのか?など考えるべきことは山積しています。

だからこそ、審議会で取り上げられたのでしょう。

 

正しく税金を納めることに抵抗がある、、、という方は別として、納めなきゃならないものを納める方法が少しでも便利にかつ少しでも簡単になることは、多くの方にとってウェルカムではないのかなと考えています。仮想通貨やシェアリングエコノミーなどの言ってみれば「これからの産業」についての考察を深めることは必須で是非上手な仕組みを導入していただきたいと思います。

少なくとも、先だって発表された「スマホ×電子申告」のような「???」のサービスとは一線を画した、「何これ!?使いやすい!!」サービスを期待したいところです。

 

追記:11月7日(水)の資料として「経済社会のICT化等に伴う納税環境整備のあり方について」が公表されています。

より詳しいシェアリングエコノミーの現在の姿が非常によくまとめられていますので、「知っておきたい」方は一読されるとよいかと思います。

 

 

 

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