原油価格と石油諸税と二重課税

2019年9月14日にサウジアラビアの石油施設がドローンによる攻撃を受け原油価格が一時高騰しましたが、その後復旧の見通しが立ったことなどにより1週間後には落ち着いてきました。世界の供給量の5%を占める施設が停止したため、一時はパニックに陥るかと思われましたが、一時的な値上がりはありつつも最悪の事態は回避されました。

 

その原油ですが、こと税の世界では「二重課税」ということで批判の対象となっています。

 

石油諸税

原油・石油製品に課せられる関税、石油税、ガソリン税、軽油引取税、石油ガス税など及び国内消費時に課せられる消費税を言います。

関税の対象としては、原油、A・B・C 重油、揮発油、灯油、軽油、LPG 、および潤滑油とありますが、それぞれ品目により税率が異なります。

 

二重課税について

国税庁によりますと、

消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税などが含まれます。これは、酒税やたばこ税などの個別消費税は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税金であり、その販売価額の一部を構成しているので、課税標準に含まれるとされているものです。

つまり、酒税、たばこ税、揮発油税・・などは、メーカーが販売価格に含め、メーカーが納税するため消費税の課税対象になります、という説明です。

消費税はそもそも最終消費者が負担するものという位置づけとなっています。

Aさんがお店Bに11,000円支払うとそのお店Bが消費税分である1,000円を一時的に預かり、申告とともに国に納付する、ということです。

しかし、酒税やたばこ税や石油諸税などは、最終消費者ではなくメーカーが納税義務者となって負担する税金で、その販売価額の一部を構成しているので、消費税を計算する際の課税標準に含まれると国税庁は説明しています。

 

元々メーカーは、酒税やたばこ税というものが無ければ、需給の関係から、販売価額をその分下げる訳ですから、結局酒税やたばこ税を払っているのは、最終消費者です。

仮に、酒税やたばこ税が課税される場合の販売価額が、酒税やたばこ税が無かった場合の(低い)販売価額と同額であるというのであれば、メーカーが負担しているとハッキリわかるのですが、結局課税されていることによってその分値段が上がるのであれば、負担しているのは最終消費者になります。

 

どんな税目であれ、国会を通って、事業者が課税されることとなれば、その分利益という名の生活費が削られる訳ですから、それは販売価額に含めると思います。

規定上の税負担者を最終消費者としさえしなければ、実質がどうあれ、販売価額の一部を構成するからという理由で消費税がそこに課せられるのであれば、どれだけでも二重課税というものを作り上げることが出来てしまう気がします。

 

消費税法上の非課税の規定にはその立法趣旨として、国民感情に反するからというものが存在しますが(助産・火葬・埋葬料など)、こちらの二重課税は該当しないようです。

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