国税庁タックスアンサー No.4108 相続税がかからない財産

相続税の計算方法は、基本的に被相続人の遺産総額を先に計算して、そこから基礎控除(3,000万円+1,000万円×相続人の数)を控除し、配分していく、という流れなのですが、その遺産総額の中に含める財産(課税財産)と含めない財産(非課税財産)があり、その含めない財産についての規定の説明です。

 

相続税がかからない財産

1.墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。

⇒墓地、墓石、仏壇その他は被相続人の所有物ではありますが、これらには課税しない、としています。これらは民法(897条)においても一般の財産とは区分され、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する、とあり、このような慣習を重んじているという理由によります。

ただし、投資目的となるような金の仏像などは通常の相続財産として課税されることになります。

 

 

2.宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

公益性、公共性の高い事業を行っている個人や人格のない社団・財団がその公益事業に利用する場合には、その財産は課税されない、ということです。

例えば、社会福祉事業更生保護事業学校認定こども園などが該当します。ただし、取得後2年を経過するまでに、その事業に利用していない場合には遡って相続税が課税されることとなります。

 

 

3.地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

心身障害者共済制度とは、障害のある人を扶養されている保護者が毎月掛金を納めることで、保護者が亡くなった場合などに、その障害のある人に対して一定額の年金を生涯にわたって支給する制度です。この制度により、受取った年金の受給権は相続税がかからない、ということです。

 

 

4.相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に※法定相続人の数を掛けた金額までの部分

相続税がかかる財産(みなし相続財産)で一部説明しましたが、生命保険金は本来の相続財産ではない(被相続人本人の遺産ではない)のですが、実質的には相続での取得とみなされ相続税が課税されます。

しかしながら、その全体の金額のうち、500万円×法定相続人の数までの部分については、非課税となります。

※法定相続人の数:相続の放棄した人がいてもその放棄が無かったものとした場合の民法上の相続人の数を言います。また、養子の数については、被相続人に実子がいない場合は2人まで実子が1人でもいれば1人まで、その法定相続人の数に追加することが出来ます。

(あくまで非課税金額を計算する際の数として追加できる制限で、養子が何人いてもその全員が非課税の規定を受けることが出来ます)

 

 

5.相続や遺贈によって取得したとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

被相続人に支給されるべきであった退職手当金で、相続人が受け取ったもののうち、500万円×法定相続人の数までの金額については課税されない、ということです。計算については、上記の生命保険金の非課税枠と同様です。

 

 

6.個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの(教育用財産の相続税の非課税)

2.の公益性・公共性の高い事業に関する相続財産というものに関連する部分ではありますが、私立(個人立)の幼稚園または私立(個人立)の幼保連携型認定こども園の教育用財産を一定の要件を満たす相続人が相続により取得した場合は、非課税となります。

こちらの教育用財産には、幼稚園等の土地・建物・その他施設などが含まれ、これらの財産を5年超運営している個人の相続人が相続した場合に、1.家事充当金限度額の認定基準額、2.適正給与額の判定基準の2点を満たすことで、相続税が課されないこととなります。

 

要件ですが、
1.家事充当金限度額の認定基準額は、幼稚園等の規模や地域を基準とした運営者の報酬額の上限で、要するに経営者が高すぎる報酬を得ていないこと、が一つ目の要件です。

2.適正給与額の判定基準は、同じように、幼稚園等の経営者の親族に対して支給する給与が高すぎないこと、という基準になります。

そして、上記の要件については、近年毎年見直しがされており、国税庁のHPでその基準が公表されています。

 

 

7.相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によって取得した金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

⇒こちらは、相続財産を地方公共団体公益を目的とする法人への寄付がされた場合のその財産や、特定公益信託の信託財産とするために支出された金銭については、その目的から、相続税を課税しないという特例です。ただし、その寄付日から2年以内に上記の公益を目的とする法人・特定公益信託該当しないこととなった場合には、遡って相続税が課税されます。

 

 

相続税法等の規定(第12条他)

以下、条文です。

第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。

一 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物

二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

三 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
四 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利

 

五 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分

イ 第三条第一項第一号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した保険金の金額

ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

六 相続人の取得した第三条第一項第二号に掲げる給与(以下この号において「退職手当金等」という。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分

イ 第三条第一項第二号の被相続人のすべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「退職手当金等の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した退職手当金等の金額

ロ イに規定する合計額が当該退職手当金等の非課税限度額を超える場合 当該退職手当金等の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した退職手当金等の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

2 前項第三号に掲げる財産を取得した者がその財産を取得した日から二年を経過した日において、なお当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合においては、当該財産の価額は、課税価格に算入する。

 

以下、相続税法施行令第二条(特定公益目的法人の範囲)

(相続又は遺贈に係る財産につき相続税を課されない公益事業を行う者の範囲)
第二条 法第十二条第一項第三号に規定する宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者は、専ら社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条(定義)に規定する社会福祉事業、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第一項(定義)に規定する更生保護事業、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第九項(定義)に規定する家庭的保育事業、同条第十項に規定する小規模保育事業又は同条第十二項に規定する事業所内保育事業、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第六項(定義)に規定する認定こども園を設置し、運営する事業その他の宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業で、その事業活動により文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するところが著しいと認められるものを行う者とする。ただし、その者が個人である場合には第一号に掲げる事実、その者が法第六十六条第一項に規定する人格のない社団又は財団(以下この条において「社団等」という。)である場合には第二号及び第三号に掲げる事実がない場合に限る。
一 その者若しくはその親族その他その者と法第六十四条第一項に規定する特別の関係(以下この条において「特別関係」という。)がある者又は当該財産の相続に係る被相続人若しくは当該財産の遺贈をした者若しくはこれらの者の親族その他これらの者と特別関係がある者に対してその事業に係る施設の利用、余裕金の運用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えること。

二 当該社団等の役員その他の機関の構成、その選任方法その他当該社団等の事業の運営の基礎となる重要事項について、その事業の運営が特定の者又はその親族その他その特定の者と特別関係がある者の意思に従つてなされていると認められる事実があること。

三 当該社団等の機関の地位にある者、当該財産の遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と特別関係がある者に対して当該社団等の事業に係る施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、当該社団等の機関の地位にある者への選任その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えること。

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