数字がもつチカラ

数字のチカラ・・・①現在位置を知る

日々、私たちは数字を扱っています。

会計とは、数字を集積・加工しお金の動きを分かり易く理解するための「整理」をすることなのですが、そうやって整理をする際にも数字を使いますし、出来上がったものも数字で構成されています。

おそらく、会計に触れたことがない方からすれば、単なる数字の羅列としか理解できないでしょう。

ところが、会計を知っている方からすればそれはストーリーのある情報の集積です。無機質な数字がたくさん書かれた一覧表ではありません。

例えば、預金残高が100万円増えましたということが読み取れました。しかし50万円の損失がでているということも読み取れます。そうすると、なんで?となりますよね。

なんで赤字なのに預金が増えるのか、と。

でもそこにはちゃんと答えが書いてあります。数字を追いかけていくことでその理由がわかるようになっているんですね。

このように、私たちが扱っている数字は、まずその数字を作り出す主体(お客様)の財政状態や経営成績を教えてくれます。これはつまり、「現在位置」の確認ができるということです。

これが私たちが日々扱っている数字がもつチカラです。

でも、経営者なら皆さんこう思うはずです。

「これって、良くなってるの?」

「他と比べてどうなの?」

「このままで大丈夫なの?」

「東京とかの都市部と比べてどうなの?」

「田舎と比べてどうなの?」

これは本当にごもっともな話で、いくら自社の「現在位置」だけを確認しても、絶対値としての金額(売上が○○円など)とそこから拾えるストーリー(利益が○○円、現預金が○○円増えた、等)しかわかりません。

これでは、ちょっと昔のGPS機器みたいなものです。現在位置の緯度・経度しかわからない・・・。上っているのか、下っているのか、東はどちらか、北はどちらか、目的地までの距離はなんてことがわからないので、このような疑問、不信・・・というよりも数字に対する「あきらめ」ですかね、そういう類の感情をお持ちになるのも当然です。

GPSの例を出しましたので、ナビゲーションシステムに例えて説明しますと、おそらく多くの経営者が欲しいのは

地図上に現在位置が表示されることは当たり前で、これまでたどってきたルートが表示できたり、目的地までの距離や予測到達時間がわかって、かつ道路の込み具合なんかもわかる。さらには、危険が迫るとアラートを出してくれる。

そんな機能を持ったシステムであるはずです。

すでに人が移動する際の情報システムはこの機能を実現して久しいです。今となっては地図だけで長距離を移動しようとすると少々怖さを感じるくらいですからね。

会計ソフトやシステムについてもきっとそう遠くない将来に同じようなシステムが出てくると思います。しかし、今現在はまだここまでの機能を持ったシステムはありません。

じゃぁ、どうしましょうか?

そんなソフトができるまで経営を中断するか、起業を待ちますか?

いえいえ、そこは今あるもので頑張るところだと思います。モノがないから機能がなくても我慢して頑張るべきなんだ!!という根性論的なことを言っているわけではありません。実は、少しの知識と工夫で欲しい機能のかなりの部分をカバーできてしまうことと、それにかかるコストはそれほど大きくはないから申し上げているのです。

次項以降で数字のチカラを紹介しながら、それらの知識を工夫をご紹介していきたいと思います。

数字のチカラ・・・②少し先の未来を見通す

事業体の経営に関する数字を集めて整理すると、会社の財政状態を表す帳票と経営成績を表す帳票にまとめられることになります。「財政状態」にはある一時点…例えば月末時点…で会社がいくらお金を持っているか、物理的な資産(建物・車など)を持っているか、いくら借金をしているかなどをまとめてあります。「経営成績」には一定期間の「成績」(いくら売れて、いくら払って、最終的に利益がいくら出たか)がまとめられています。

経営成績については完全に過去の事象の集積といってよいのですが、財政状態にはほんの一部ですがとても重要な部分にかかわる少しだけ将来のデータが含まれています。過去に行われたことを集計して少しだけ将来が予測できる。会計に関する本当にわずかばかりの知識があれば、これが可能になります。

そこに経営者の方が持っている最新の情報を重ね合わせると、一定の確度以上の近い将来の成績などが予測できます。

それゆえ、私たちは帳票を使って現在の数字、近い将来にかかわる数字のご説明をします。

書いてある数字を単なる過去の数字としてお伝えしたいからではなく、経営に使える情報を読み解く最低限の知識や技術を説明するためと、その予測が経営を考える上ではとても大切だからです。

数字のチカラ・・・③これまで、を知る。ベンチマーク

私たちが扱うお客様の数字は、基本的には過去のものになります。これは会計の本質になります。それゆえ、「これまで」を会計データから知ることはある意味当然であり、当たり前の使い方ということになります。現在利用可能なほぼすべての会計ソフトに「前期比較」「3期比較」を表示する機能がありますし、さらには「月次推移」を表示する機能もあります。これらを使うことで、「経営が良い方向に向かっているのか」「過去に行われた施策の結果がどう出ているのか」「過去と比べることで、異常値をあぶりだす」ことができるようになります。

会計データとして整理されているものであっても、それを評価するためには必ず比較対象が必要になります。過去データとの比較は、過去と現在の「二時点比較」という性質を持ち、そのデータが両者ともに自社のものであるところに特色と限界があります。

数字のチカラ・・・④周囲を知る

「当社比」という言葉が、肯定的な意味ではないことは多くの方が理解していらっしゃると思います。もちろん、会計の世界においては自社のデータを知ること・評価することは、比較対象がたとえ過去の自社であったとしてもその重要性はゆるぎないものがあります。しかし、やはりそこには限界があります。

一生懸命経営していました。業当初と比べると売上も利益も増えてきました。資金繰りも徐々に楽になってきた気がしています。自社の数字を追いかけてみても、その状況を正しく表しているように読み取れます。

一見、何の問題もないようなこの状況ですが、例えば、同業他社と比べて「人件費が10%以上高い状態」で推移していた、とか「原材料費が5%高い状態であった」とすると、おそらくその会社は近い将来価格競争に勝てなくなるかもしれません。比較した上での現在位置を知っていれば、例えば機械や設備、ソフトやシステムを導入することでその状況を改善できる可能性があります。知らなければその可能性は限りなく低くなってしまいます。

他社比較は①財務内容の比較、経営成績の比較、財務分析指標の比較などの内容における比較、②同業種、異業種、類似業種などの業種間における比較、③同規模、同規模以外などの規模による比較、④県内、県外、都市圏、郊外など地域間の比較など、切り口も方法も、そしてその有用性も様々なものがあります。

比較するための材料は統計データを使います。

国がまとめている統計(財務省統計局http://www.stat.go.jp/index.html

・業界団体が自主的に取っている統計(日本統計協会 民間の統計https://www.jstat.or.jp/content/民間の統計/

・会計グループがとっている統計(TKCグループのBASThttp://www.tkc.jp/tkcnf/bast)などがあります。

この他社比較については、自力で行うことなりますが、統計データの選び方、使い方、比較の仕方などが非常に難しいため、重要性は認識しているけれど、実行には移せない方が多いのではないでしょうか。

切り口はやや狭いですが、分かり易くしてくれているのが、以前ご紹介した経営自己診断システムです。

比較対象、比較内容などを自由に設定して、自社の問題点を発見することが他社比較の最大の効能なのですが、まずは定型的かつ典型的な要素による比較をしてみてもよいのではないでしょうか。

数字のチカラ・・・⑤チャンスをうかがう

会計データを離れたところでの数字では、以下のような面白いサービスがあります。

使い方を工夫することで、今現在行っている事業に良い風を吹かせることができるかもしれません。もちろん、現状を知るだけでも意味のあることですから、興味のある方は是非触ってみていただきたいと思います。

RESAShttps://resas.go.jp/):地域経済分析システム

行政職の公務員はもちろんのこと、一般市民や学生、高校生などによる政策立案に利用されていたりします。

試しに千葉県の創業比率、市区町村別のデータを表示してみました。

グラフにするとこんな感じです(船橋市)。

STAT MAP(https://jstatmap.e-stat.go.jp/):地図で見る統計

これは地図上に統計データを落とし込めるので、視覚的に商圏を確認できたり、潜在的な顧客獲得のための情報取得を自らの手で行うことができます。

当事務所の地元、東船橋駅を中心に、65歳以上の方の人口を250mメッシュで表示させてみたところです。

もし、チラシを配るならどのあたりを重点的にすべきかですとか、看板をつけるならばどの方向だとか、そんなことにも使えます。

まとめ

会計データを使うことで、これまでを知り、現在を知り、そして少し先の将来を見通す。さらには統計データを利用することで周囲の状況まで把握できる。

これが会計は経営の羅針盤と言われる所以ですし、統計データを利用することでその羅針盤はレーダー機能も持っているということになりそうです。

まずは皆様に数字のチカラをご理解いただき、経営に活かしていただくこと、それは羅針盤を作り、お客様に提供し、その使い方のご説明をすることであり、レーダーの機能のご説明をし、使い方もお伝えすることです。

そのうえで一緒に伴走するところまでが私たちの仕事であると考えております。

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