ふるさと納税はされましたか?
ここのところ、毎年この時期になるとお客様との間でこんな会話が繰り広げられます。
シミュレートしてほしいということで計算はしてあげていたのだけれど、その後の進捗というか手続きというか、要はふるさと納税を行ったかどうかの確認をさせていただく際の会話です。
今年は、災害支援の局面でふるさと納税の利用が様々なメディアでピックアップされたり(過去のコラムはこちら「申告・納付期限の延長が発表されています ~平成30年7月豪雨災害~
」)、なぜ今?というタイミングで総務省のお達しが出たり(9/11のコラム「このタイミングですか、、、ふるさと納税見直し」参照)、年間を通して「ふるさと納税」という言葉が身近にあった1年だったように思います。
そして年末が近くなってきて再度メディア等で特集・ピックアップが目につくようになってきました。
よし!!今年はやってみるか!!という方や既にふるさと納税をされた方で年内にもう少ししておきたいと考えていらっしゃる方に少しだけお伝えしたことがありますよ~、というのが今回のコラムの主題です。
ふるさと納税をする際のチェックポイント
寄付をすることで、2000円の負担はするものの税金を安くしたり前払いすることになり、さらにお礼の品を頂く、、、これがふるさと納税の簡単な説明になります。
税額がとても安くなるというわけではないですし、手元のお金が増えるわけではありません。むしろ前払いをする分、一時的にではありますが、持ち出しになりますから手元の現金は減ります。
そもそも寄付金なんだから見返りを求めない寄付になってもいいや、、、くらいの気持ちでされる方もいらっしゃると思いますが、これだけ節税だの得をするだのと喧伝されていると、こんな心持ちでふるさと納税をされる方は多くはないでしょう。
それゆえ、「実質負担2,000円」という基準はとても重要になっていますし、総務省のWEBサイトや数あるポータルサイトにはシミュレーターが用意されていて、実質負担2000円で済ませられるように簡単に計算できる配慮がされています。
ふるさとチョイス(https://www.furusato-tax.jp/about/simulation)
さとふる(https://www.satofull.jp/static/calculation01.php)
ところが、シミュレーターには給与や家族構成以外にもいくつか追加で情報や金額を入力しなければ、意図とは違う結果が算出されてしまう可能性があります。
つまり、シミュレーターの使い方の前に押さえておかねばならないポイントがあるんです。
今年の出来事を振り返ろう
やっていただきたいのは、今年の出来事を振り返ること。
振り返っていただきたいのは、 「どんなことにお金をつかったか」と「『家族関係』『傷病・障害』について変化があったか」 についてです。
具体的には、「医療費の多額の支払」「住宅の購入」「離婚等で扶養関係に変化があった」「事故・病気などで障害者になってしまった(扶養親族が障害者になった場合含む)」等になります。
もし、こういった出来事が平成30年中にあった方はふるさと納税のシミュレートをもう一度してみたほうが良いと思います。
なぜかといいますとこれらの事情は所得税や住民税の税額に影響があるからなんです。
ふるさと納税は、一部が所得税を安くするのに使われて、残りが住民税を安くするために使われます。そして、高額のふるさと納税をしてみても、所得税や住民税額が0円になるまで安くしてくれるわけではありません。ふるさと納税が住民税の税額の一定割合を超える場合には、その部分は切り捨てられる(税額に影響を及ぼさない単なる寄付)ことになっています。
つまりは、所得税や住民税が以前のシミュレート時よりも安くなる場合にはちゃんと計算しておかないと実質負担2000円というわけにはいかなくなりますよ、ということなんです。
所得税や住民税に影響がある控除には「小規模企業共済の掛け金」「雑損控除」などもあります。それゆえ、個人でも法人でも経営者の方が小規模企業共済に加入したですとか、泥棒に入られたとか、今年そんな事がありましたという場合にも再計算をしてみるべき、ということになります。
(総務省のWEBサイトにあるシミュレータは簡易過ぎてこのあたりの計算ができませんので注意が必要です。)
そして、これらの税額を安くするような事情がある方の場合、再シミュレートをしてみると、当然ながら実質負担2,000円でふるさと納税を楽しめる上限額が下がることになります。場合によっては、すでにふるさと納税された額の一部が単なる寄付となり税金の前払いにならないということもでてくるかもしれません。
「まぁ、今年はいいか、、、」と思える方は、そのままでもよいのだと思います。お世話になった土地、育ててくれた地域、元気になってほしい人たちが住んでいる町、そんな地域に見返りのない寄付をしたことになれば、それこそ満足感の高い寄付になるはずですから。
でも、そこは人間ですからね、なかなかそうは割り切れない方もいらっしゃるでしょう。
ただ、ここで話は終わりではありません。次のポイントに気を付けないとさらに実質負担額が増えてしまう可能性があります。
給与所得だけの方限定にはなりますが、
そのポイントとは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」というものになります。
簡単に仕組みを説明すると、確定申告することなくふるさと納税のメリット(税金の前払い)を受けられるようにした制度、ということになります。
そもそも、ふるさと納税をしなければ所得税の確定申告をしなくてよかったような方であれば、そのまま確定申告することなくふるさと納税のメリットを受けられるような仕組みがあればもっとふるさと納税をやりやすくなりますし、このためだけの申告が増えてしまうと国税の業務量が増えてしまうから、、、ということなんだと思います。
寄付先は5つの自治体まで、寄付の都度申請をする必要あり、同じ自治体に複数回寄付してもその都度申請が必要、、、、と手間がかかるのになぜ「ワンストップ」という名称なのか、という疑問は当然出てくるでしょう。
しかも、手間暇かけて得をする、なら納得もできますが、その逆になる可能性があります。
理由は所得税の寄付金控除(確定申告の場合)と住民税の寄付金控除(申告特例控除分)(ワンストップ特例の場合)の計算で控除できる額に差があるから・・・・。
こう聞いたところで「何のことやら?」ですよね。
要は通常の確定申告を行う場合の控除額とワンストップ特例での控除額に差が出てしまうことがあるってことです。
気を付けていただきたい方は、実質負担2,000円を超える寄付を行った方です(実質負担2000円の方は差が出ません)。
持ち出し(実質負担)を最小限にしたい方は、確定申告をすればよいことになります。既にワンストップ特例を申請された方でも、確定申告をすればこちらが優先されることになります。
まだまだ少しだけですがリカバリーが利きますので、慌てずにいてくださいね。
住宅ローン減税とふるさと納税
税額に影響を与えるイベントの一つに「住宅の購入」を上げました。
適用を受けるためには細かい要件があるのですが、多くの方は「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」を受けられると思います。
手続きとしては、この控除制度の適用をうける初年度に確定申告をすることになります。
この住宅借入金等特別控除とふるさと納税を併用ができることになっており、どちらも十分に活用したい制度なのですが、その場合には少しだけ注意が必要です。
初年度は確定申告が絶対に必要ですから選択の余地はないのですが、2年目以降の方でそもそも確定申告が不要の方(サラリーマン等)はふるさと納税のために確定申告をするのかワンストップ特例を使うのか選択できることになります。
どちらを選択しても結果は変わらない・・・ということであれば迷うことはないのですが、どちらを選ぶかで結果が変わることがある、、、ということになっています。
どのように結果が変わるかというと、ワンストップ特例が有利(控除額が減らない)で確定申告が不利(控除額が減る可能性がある)になる可能性があります。
先に書いたことと真逆で、まず混乱されるだろうとは思いますが、、、。
まとめ
結論をまとめます!
1、今現在わかっていることをすべて拾い上げてふるさと納税のシミュレートをしてみる。
2、今年住宅を購入された方⇒選択の余地がないので確定申告をする。
3、住宅借入金特別控除2年目以降の方
3-1、現在のふるさと納税額が実質負担2000円に収まる場合
ワンストップ特例を利用(利用できない方は確定申告)
3-2、現在のふるさと納税額が実質負担2000円を超えている場合
税額、控除額を厳密に計算して比較し、ワンストップ特例を利用するか確定申告を利用するか判定
これからふるさと納税をされる方も、すでに一通り終えられた方も、これらの点に注意して楽しみながらふるさと納税ができることを願っています。