平成30年税制改正(所得税)
4か月前に発表された平成30年度税制改正大綱ですが(パンフレット)、まだ参議院で審議されているようですね。リンク先は「所得税法の一部を改正する法律案」の現在の状況ですが、他の改正に絡む法律もまだ成立はしていないようです。最近はこんな風に法案の成立がどの程度進んでいるかが簡単にわかるようになりました。興味がある方はどんな法案が出ていて、今現在どんな状態なのかを確認できますから、覗いてみるのも面白いかもしれません。
そんな税制改正ですが、今回は個人所得税の改正について取り上げてみたいと思います。
今回の改正の概要
○ 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
・給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律 10 万円引き下げ、基礎控除の控除額を一律 10 万円引き上げる。
○ 給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し
・給与所得控除について、給与収入が 850 万円を超える場合の控除額を 195 万円に引き下げる。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23 歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講ずる。
・公的年金等控除について、公的年金等収入が 1,000 万円を超える場合の控除額に195.5 万円の上限を設ける。公的年金等以外の所得金額が 1,000 万円超の場合は、控除額を引き下げる。
・基礎控除について、合計所得金額 2,400 万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みとする。(平成 30 年度税制改正の大綱の概要 平成 29 年 12 月 22 日 閣議決定から抜粋)
これまでの経緯と今改正の影響
個人所得課税の改正の流れは、「給与所得控除の見直し」を中心にここ数年でかなり進んできていました。つい数年前まで、上限なしだった給与所得控除に上限が設けられたのが平成24年(適用は平成25年から、給与収入1500万円超に対し、控除上限額245万円)。上限が少し下げられたのが平成26年改正(平成28年は給与収入1,200万円超、控除上限額230万円、平成29年分以後は給与収入1,000万円超、控除上限額220万円)。そして今回の平成30年改正です。給与収入850万円超の時の控除上限額を195万円とするとのことです。
改正が始まった当初は、「給与収入1500万円超」の方々が対象だったので、自分には関係ないなとやり過ごしてきた方も多かったのでしょうが、今回の改正からは負担増を実感する方たちが増えてくるのではないでしょうか(負担増になる方々は230万人超だと報道されてます)。
今回は合わせて年金収入についても改正が入りました。給与所得と同じく、天井なしだった控除に上限を設け、そして高額な年金以外の収入がある方については控除額を引き下げるという内容になってます。こちらは基準となる年金収入額が1000万円で、対象者は全国で3,000人程度とのこと。ただ、給与所得控除と同じく、基準となる年金収入額が切り下げられてくると、負担増を実感する方たちが増えてくるのでしょうね。
さらに、基礎控除についても20数年ぶりに改正が入ります。給与所得控除、公的年金控除を一律10万円下げてその分基礎控除を一律10万引き上げる、そして高額所得者(2400万円~)については基礎控除が逓減し所得2500万円を超える方にてついては基礎控除をなくす、という内容です。「負担増だ~」と嘆くことができる方、正直言ってうらやましいですね。「所得」で2500万円ですからね。願わくば、給与所得控除変更のながれのように「高額所得者」の定義が少しづつ下がってくるなんてことが無いようにお願いしたいところです。
これらの改正は、平成32年(平成32年はあり得ないのですが、、、)からの適用となっています。
今年(配偶者控除の見直し)、来年(消費税10%)、そして再来年がこの改正です。
個人の税金に目を向けると、ちょっと息苦しくなってきますね。
法人の税金に関してはどうなんだろう、、、またそれは記事をあらためて書きますね。