11月になりました。税制改正の議論が始まります。
毎年12月に発表される「税制改正大綱」ですが、税制改正についての議論は昨日11月1日からスタートしてます。
すでに「平成31年税制改正要望」が出ていることは、以前お伝えした通りなのですが、こちらは各省庁が出している税制改正についてのお願い、、、ようなもので、まだまだふんわりとしています。
11月から始まる税制改正の議論は、まずは与党(自由民主党)の税調(税制調査会)が主幹し進めていきます。
なかなか改正されない法律も世の中にはたくさんありますが、税法・税制は「必ず」毎年改正が入ります。予算と政策は一体不可分で、政策を実現するためには必ず予算が必要となり、そこには当然ながら財源が求められます。つまり、政策を継続したり微修正するにも財源は必要ですし、新たな政策が加わるとなれば、そこにも財源が必要となります。
そして、その財源の主たるものが税収です。そうなると政策と予算・財源が密接不可分であるように、やはり政策と税制は不可分であって、ましてや経済政策のように税制が直接影響する政策もあります。
これだけ重要な税制なので毎年検討され、、その結果、何らかの改正が入るという流れになっています。
今年の税制改正の目玉
全体像が明らかになっていない段階で目玉って判断もしづらいのですが、、、
「消費税税率改定に向けた様々な対策」は目玉になるでしょう。駆け込み需要があってそのあとの景気の落ち込みを最小限にしたいとの意向は、メディアを通じてもうかなり以前から聞こえてきていますよね。中にはバラマキか?といいたくなるようなものもあります。すでに内部的には確定しているものもあるのでしょうけど、どんな形で発表されるのか、しっかり注視していく必要があります。今のところは高い買い物(自動車・住宅)についての対策が検討されているようです。
「地方と都市部の税収格差」とまとめてしまいますが、ふるさと納税、地方創生応援税制、などこれまですでに着手していた偏在解消策を今後どのように進めていくのか?ふるさと納税については、総務大臣がクギを指すなどなかなか国が考えていた方向に進んでいない部分もあります。「地方と都市」の問題は「高齢者と若者」で議論されているような『財の格差』の問題とも言えます。なかなか一筋縄ではいかないこの問題にどのような道筋を与えていくのか、今回の改正も多くの方が注視しているだろうと考えています。
「子ども・子育て支援」についての税制も注視が必要です。この10年ほどバラマキがあったり、それと引き換えに所得控除の額が減らされたりと、直接的に「家計」に影響がある改正がされてきました。落ち着くまでに今しばらく時間がかかりそうですが、プラスとマイナスの施策が繰り返されているうちに結果としてもともとの施策よりも「マイナス」に落ち着きました、、、なんてことにならないといいなと思いっています。
他にも「オリンピック・パラリンピック」関連、「空き家問題」関連、「中小企業対策」関連、などなどテンポラリーなものから継続的に取り組むべきものまで、多くの方に理解してもらいたい改正も予定されています。気になる方は・・・まずは私たちに聞いてみてくださいね。
なぜ、税制改正をウォッチし続けるのか?
なぜ改正を追いかけていくのか?しかも発表前からなぜ気にするのか?についてはちゃんと理由があります。
大きな理由は3つです。
一つ目は、税務的に正しい処理をしなければならないからです。税理士事務所にお願いしたら間違った申告をされてしまった、、、なんてことでは目も当てられません。毎年変わるルールを押さえないといけないのは、まずは何と言ってもこれが理由です。
二つ目は、それまでの最適解が変わってしまう可能性があるからです。間違っていなければよい、という考え方もできなくはないですが、税務処理について選択肢が与えられていて知識さえあれ税金計算上お得になるようなルールがある場合には、お客様にとっての最適解を探し続けるというスタンスが正しいのではないかと思っています。改正が入ることで最適解が変わるのであれば、そのことを知りそして新たな最適解を探すといったことが必要になります。継続して事業を行っている方、相続や事業承継の準備をしている方、資産をどうやって増やして残していくかを考えている方、私たちのお客様にはこのような方たちが多く、長いお付き合いになっていきます。以前はベストな準備といえたのに、今となってはベストではない、なんてことを放置するわけにはいかないのです。
三つ目は、発表前から気にかけておく理由なのですが、これは議論の経緯を見ておきたいからという理由になります。興味本位というのではなく、議論の経緯を理解しておくことで、出来上がった法律の解釈に活かすことができるからなんです。法律が成立して時間がたてば解説書、コンメンタール、裁判例などがしっかりとその法律を説明してくれるのですが、そういう情報がまだ世に出ていないタイミングであっても、実務の現場ではその法律を使って仕事をする機会が想定されます。経緯をしっかりと押さえておけば、少なくとも間違った理解やトンチンカンな適用をすることはないはず。だからこそ改正が発表される前からウォッチするんです。
世間的には平成が終わり、オリンピック・パラリンピックの開催前夜となる2019年、我々の業界的には消費税の税率改定があり複数税率が導入される2019年、政策がどう動き、税制はどう動くのか、しっかりと追いかけていきたいと思っています。