国税庁タックスアンサー No.3208,3211 長期譲渡・短期譲渡の種類(不動産の譲渡)

毎年確定申告の時期はとても忙しくなるため、作業に没頭することが多く、何かを残そうという時間が殆どありません。

その中でも毎年調べる項目について残しておこうと思います。

 

今回は、長期譲渡・短期譲渡の区分(種類)についてです。

所得税の確定申告書の第三表のうち、長期譲渡には3区分あり、短期譲渡には2区分あります。

 

普段システムで入力していると、大半が自動判定をしてくれるので、油断しているとこういった判定部分が手動だったりします。

つまり、判定内容がある程度複雑な要件ということなんですね。

 

不動産譲渡の種類(区分)5つ

不動産の譲渡の区分は5つです。

1.長期譲渡・一般

2.長期譲渡・特定

3.長期譲渡・軽課

4.短期譲渡・一般

5.短期譲渡・軽課

 

なんとなく短期→長期と行ってほしいところですが、逆の順番になっているのは、条文番号通りとなっているためです。

それぞれ見ていきます。

 

短期と長期について

まず、短期と長期の区分ですが、譲渡した年の1月1日現在の所有期間5年以下の土地や建物を売った場合は短期となり、それ以外は長期となります。

 

具体的には、2018(H30)年中に譲渡が有った場合に、登記上2012(H24)年12月31日以前の取得(売買や相続など)となっていれば、「長期譲渡」となります。

反対に、2018(H30)年中に譲渡が有った場合に、登記上2013(H25)年1月1日以後の取得となっていれば、「短期譲渡」となります。

 

 

長期譲渡・一般(租税特別措置法 第31条)

まず、長期譲渡の一般ですが、他の長期譲渡である「長期譲渡・特定」と「長期譲渡・軽課」以外の長期譲渡を言います。

 

ですので、次の区分とその次の区分以外のもの全て、ということになります。

 

税額としましては、

・収入金額ー取得費-譲渡費用 = 譲渡益

 譲渡益×15%(住民税は譲渡益×5%なので、計20%)

となります。

 

 

長期譲渡・特定(租税特別措置法 第31条の2)

長期譲渡の特定区分ですが、こちらは長期譲渡のうち、「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合」を言います。

また、次の区分である「長期譲渡・軽課」に該当するものは除きます。

 

こちらの「優良住宅地の~」というものは何かと言いますと、

1.国・地方公共団体等に対する譲渡

2.(独)都市再生機構、土地開発公社等で宅地・住宅の供給などを目的とするものに対する譲渡

3.被災地での都市再開発のための土地開発公社に対する譲渡

4.収用交換等による譲渡

5.第一種市街地再開発事業の用に供するための譲渡

6.防災街区整備事業の施行者に対する譲渡

7.一定の要件を満たす都市再生事業のための譲渡

などです。

 

簡略化して書いてますので、もっと詳しくお知りになりたいという方は、大変お手数ですが、お問合せ下さい。

 

税額としましては、

・譲渡益が2,000万以下:譲渡益×10%(住民税:4%)

・譲渡益が2,000万超 :200万+(譲渡益ー2,000万)×15%(住民税:5%)

つまり、2,000万までを10%に、それを超えた分を15%にしますよ、という特例です。

 

こちらの特例は、収用交換等の場合の5,000万円特別控除とは併用できません。

 

 

長期譲渡・軽課(租税特別措置法 第31条の3)

長期譲渡の軽課区分ですが、こちらは長期譲渡のうち「居住用財産を譲渡した場合」となります。

ただし、こちらの譲渡は所有期間が5年超ではなく、10年超となります。

また、居住用財産を譲渡した場合によく適用される、いわゆる「3,000万控除」を適用した後の譲渡益に対して軽課(軽減された税率による課税)がなされるものです。

また、配偶者や生計一親族などへの譲渡については適用されません。

 

税額としましては、

・譲渡益(3,000万控除後)が6,000万以下の場合

譲渡益×10%(住民税:4%)

・譲渡益が6,000万超の場合

600万+(譲渡益-6,000万)×15%(住民税:5%)

となります。

つまり、3,000万控除した後の利益に対して、
6,000万までは10%、6,000万超は15%ということになります。

 

 

短期譲渡・一般(租税特別措置法 第32条)

短期譲渡の一般区分ですが、こちらは「短期譲渡・軽課」以外の短期譲渡を言います。

つまり、次の区分以外の短期譲渡全て、ということになります。

 

税額としましては、

譲渡益×30%(住民税は譲渡益×9%)です。

長期譲渡に比べると住民税合わせて2倍近くになります。

 

 

短期譲渡・軽課(租税特別措置法 第32条3項)

短期譲渡の軽課区分ですが、こちらは長期譲渡の特定区分のようなイメージです。

短期譲渡のうち次のような譲渡に該当する場合ということになります。

1.国、地方公共団体に対する譲渡

2.(独)都市再生機構、土地開発公社等の住宅建設・宅地造成のための譲渡

3.収用交換等による譲渡

 

税額としましては、

譲渡益×15%(住民税は譲渡益×5%)

となります。

こちらは長期譲渡・特定異なり、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除と併用が可能です。

 

 

まとめ

不動産の譲渡の場合の区分5つをまとめますと以下のようになります。

区分 所有期間 内容 所得税 住民税
長期譲渡一般 5年超 他2つ以外 15% 5%
長期譲渡特定 5年超 国等・収用等・都市再生等 2,000万以下 10%
2,000万超  15%
2,000万以下 4%
2,000万超  5%
長期譲渡軽課 10年超 居住用不動産の譲渡 6,000万以下 10%
6,000万超  15%
6,000万以下 4%
6,000万超  5%
短期譲渡一般 5年以下 軽課以外 30% 9%
短期譲渡軽課 5年以下 国等・都市再生機構等・収用等 15% 5%

 

 

ご不明な点等ございましたら、お問合せ下さい。

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