国税庁タックスアンサー解説 No.4402 贈与税がかかる場合

まず、その前段をご紹介します。

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。
会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。
また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。
ただし、死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。

(国税庁より)

財産を個人から又は会社からもらったとき、というところから始まり、生命保険金債務免除による利益に話が進み、また生命保険金に戻った後に、課税方法として暦年課税相続時精算課税があります、という流れです。

とても難しいので、以下まとめます。

 

贈与税とは

基本的に贈与税は、一個人が、他の個人から財産をタダで受け取ったときに課せられる税金です。

但し、お金を払って財産を譲り受けたとしても、その支払額が安すぎる場合には、その安すぎる部分について贈与とみなされ、贈与税がかかります。

 

民法上の贈与

民法549条に贈与の規定があります。

贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

贈与する側の意思表示という部分と、受け取る側の受諾をすること、という部分が税務上では、名義預金などでよく問題になる箇所です。

 

暦年課税と相続時精算課税

贈与税には、2種類の課税方法があります。

一つは暦年課税で、もう一つは相続時精算課税です。

これしかありません。

 

 

暦年課税

暦年課税とは、その年の1月1日~12月31日の間に、贈与によって個人が受けとった財産の金額のうち、税金のかからない枠(基礎控除額)である110万円を超えた部分について課税する方法です。

つまり、毎年110万円までは無税で贈与を受けることが出来るということです。

また、贈与を受ける個人を中心に考えますので、同一年に複数の個人から贈与を受けても、一人から贈与を受けても、合計額が同じであれば税額は同じです。

税務署に届出などを出さずに贈与を受けると、通常このように課税されます。

贈与税率は、段階的に上昇していき相続税率より遥かに高くなります。

贈与税率表(一般贈与)

贈与額(110万円を引いた後) 税率控除額
0万円超200万円以下10%0円
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超400万円以下20%25万円
400万円超600万円以下30%65万円
600万円超1,000万円以下40%125万円
1,000万円超1,500万円以下45%175万円
1,500万円超3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

 

相続税率表

各相続人の取得価額(法定相続分) 税率控除額
0円超1,000万円以下10%0円
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

 

例えば、5,000万円の贈与を受けた場合、110万円が無税ですので差引いて4,890万円となります。

この4,890万円を表にあてはめると、税率が55%で控除額が400万円と分かります。

ですので、贈与税としては4,890万円×55%-400万円=2,289.5万円ということになります。

 

それに対して、相続税の場合、色々前提はありますが、相続人Aさんが法定相続分通りに財産を相続したとしたときに5,000万円だった場合、これを表にあてはめると、税率が20%で控除額が200万円と分かりますので、ここでの相続税は、5,000万円×20%-200万円=800万円贈与税の約3分の1となります。

また、相続人が実際に取得した財産の金額に応じて相続税の負担割合も変わってきますので、おおまかなイメージとして、贈与税は相続税よりかなり高いと捉えて頂ければと思います。

相続時精算課税

今までは暦年課税の説明でしたが、それに対して、相続時精算課税という課税方法があります。

これは20歳以上の個人が60歳以上父母又は祖父母から贈与により財産を受取った場合に、受取った財産の金額から2500万円を控除して、残った部分の20%を贈与税として課税される方法です。また、2500万円は1年間でではなく、生涯で控除できる累計額となります。

相続時精算課税は、税務署に贈与者を特定した上で相続時精算課税選択届出書というものを提出することによってその適用を受けられるようになります。

この制度を一度選択すると、その特定された贈与者からの贈与は全て相続時精算課税による課税となります。

そして、この贈与者が亡くなった場合には、相続によってその財産を取得したものとして相続税の計算が行われます。(それまでに20%で払った贈与税については、ここで控除されます)

そのため、相続時精算課税という名称になっています。

 

R1年に祖父であるAさんから2,000万円の相続時精算課税による贈与を受けた場合、R1年分の贈与税は、0円です。

(2,000万円ー2,500万円)×20%=0円

Aさん分の相続時精算課税の無税枠である2,500万円のうち2,000万円R1年で使ったことになります。

この時点でAさん分の無税枠500万円になります。

 

R2年にさらにAさんから1,000万円の贈与を受けた場合、R2年分の贈与税は、100万円です。

(1,000万円ー500万円)×20%=100万円

R1年に適用を受けた2,500万円の控除のうち残額500万円)だけをR2年の贈与財産から差し引くことが出来ます)

この時点で、Aさん分の無税枠は0円となります。これ以後、Aさんからの贈与は全て20%の税率により贈与税が課税されます。

 

R3年に更にAさんから1,000万円の贈与を受けた場合、R3年分の贈与税は、200万円です。

1,000万円×20%=200万円

となります。

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