金融所得課税・デジタル課税(fukatax通信 第37号)
金融所得課税・デジタル課税(fukatax通信 第37号)
ポイントが分かるとおもしろい! 一見難しい用語を解説
今回のfukataxは、最近ニュースで話題になった、「金融所得課税」と「デジタル課税」について、用語の解説などをご案内いたしました。
金融所得課税の強化
岸田首相が総裁選の際に公約として掲げ、総裁となった後「当面行わない」としたことで話題になったものです。
個人の所得には所得税が課されています。所得税は、「総合課税(累進税率)」と「分離課税(一律税率)」の2つの税金計算の合計で求められます。
株の売買など金融商品で得た利益は「分離課税」の一律20%(復興特別所得税込みで20.315%)の税率が課されています。
多くの方の生活の糧となる給与や事業所得は、総合課税で累進税率が課せられます。このため、所得が増える分だけ税負担も増えることが通常です。
しかし、実際の税負担率は所得1億円をピークに下がる傾向にあります。これは高所得者ほど、金融所得が増えることが理由です。いわゆる「一億円の壁」です。
金融所得課税には、「株価への影響」「富裕層が資産を海外に移転する可能性」「金融所得がある中間所得層への影響」が懸念されており、歳入の増加見込みと影響をしっかりと検討する必要があります。
デジタル課税
インターネットが普及し、今ではスマートフォンでいつでもネットのサービスを受けられる時代になりました。
インターネット上のサービスには、国境はありません。アクセスしている先が、日本のベンチャー企業であったり、韓国のエンターテイメント会社であったり、アメリカの通信販売会社であったりします。
消費者から利益を得ている事業者は国に納税をし利益を還元することで、経済と国が正常に機能します。日本国内で活発な消費活動と健全な企業の運営があり、そして安定した税収を元に国が国民生活の向上を図ることが、理想の姿かと思います。
しかしながら、インターネットサービスが普及したことで、日本の消費が活発であっても、その受手は海外の企業で、日本の税金が課せられない、という問題が起こっています。これは世界規模の問題で、欧州をはじめとする約10か国は、独自にデジタルサービス税(DST)を創設し課税を進めてきました。
これに対し、GAFAを抱えるアメリカは、「米国企業を差別的に扱っている」と主張して報復関税を課し、アメリカと欧州とで対立していました。
この対立の構図は、10月8日のOECDの会合で「2023年中にデジタル課税を導入する」という妥協案に各国が合意し、一旦の解消となりました。
また、裏面では、年末調整の時期が近づいているということで、近々でご提出をお願いすることになる書類等の一覧をご案内いたしました。
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次回は、11月末頃を目途に発送を予定しております。