違いを生み出す
サッカーワールドカップに関連するニュースで気になった言葉の一つです。
解説者や現役選手、引退選手等が「『○○○』は中盤で違いを生み出していた。」という使い方をしていることが多いです。
もちろん、肯定的な意味ですし、しかもかなり高い評価をしているケースで使われています。
これが気になっていた、、、というか違和感の根っこです。
私には、「違いを生む」ことが突如として「肯定的な意味」で使われだしたような気がして気になってました。
「違いを生む」のこれまで
日本語というか日本文化というか、もしかしたら私個人の価値観や先入観なのかもしれませんが、「違いを生み出す」ことが肯定的な意味であるということにとても違和感を覚えました。
小学校から大学時代まで含めて「君は人とは違いを生み出せる素晴らしい人だ」という誉め方や評価を聞いたことはありません。
また、社会人になってからも「違いを生み出してくれてありがとう」なんて言葉を上司にもらったことなどありません。
「違いを生み出す」ことは過去においてあまりポジティブな意味だとはとらえられてなかったような気がします。
むしろ、「なんで君は皆と同じようにできないんだい?」「そこは皆に従っておくべきところでしょう」「とりあえず同じようにしておきなさい」という言葉で使われているように、「違い」をネガティブな意味ととらえた上で「同質性」を是とすることが多かったような気がします。
「一般的には、、、」「多くの場合、、、」「常識的には、、、」という枕がつく文章も基本的には同じように「違い」をマイナスととらえた上で「同質化」を促す発言や文章に使われていたような気がします。
それが、これまでの経緯も歴史も文化も慣習も軽く飛び越えて「違いを生み出すことはポジティブなこと」「違いは良いこと」的なニュアンスだと発信され、受け止められ、広がりつつあります。
もちろん、今回のワールドカップに合わせて突然変わったわけではなく、ここ数年で変わってきたのだと思いますが、「違い」を肯定する文化が育っていくことは、産業界や経済界においても非常に有用なことですからこの感覚を大事にしていきたいところです。
チェンジ・メイカー
経済産業省がMETジャーナルで特集しているこちらの記事(https://meti-journal.jp/p/290)も、ずっと上の方では同じような価値観や文化の変化が見て取れます。変革を正面から是とし、「チェンジ・メイカーを育てる」なんて銘打っているわけですからね。
『未来の教室』に絡んだ教育産業分野は大企業も中小企業も今まで以上にビジネスチャンスが広がるはずです。BCG(ボストンコンサルティンググループ)が本当に分かり易い資料を作ってくれています(こちら⇒http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mirainokyositu/pdf/001_03_02.pdfこちらも⇒http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mirainokyositu/pdf/002_02_00.pdf)。
テレビやネットニュースで見る海外の教育現場におけるITの利用方法とそのレベルには本当に驚かされることが多いのですが、次世代を担う人たちを生み出すためには、今の世代で違いを生み出さないといけないということなのでしょうし、そのためのツールがEdTechだということなんでしょう。EdTechの開発がそのまま教育レベルの向上につながるかといえばそうではないのかもしれません。ただ、国際的に競争できる人材を作るためには必要なことです。こういった「変化が社会的に望まれて」いて「旗振り役が国であり政府である」業界は、沢山の人の目と耳とお金が集まります。(参考:NHK クローズアップ現代⇒http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3924/1.html、筑波経済月報2014年7月号⇒https://www.tsukubair.co.jp/wp/wp-content/uppdf/mreport/2014/07/201407_06.pdf)
この業界で「違いを生み出す」ことができれば、、、と考える経営者もたくさんいらっしゃるかと思います。オリンピックなどの一時的な特需ではなく、継続的なマーケットを探している投資家さんなどにも魅力がある業界になるかもしれません。
いずれにせよ、このEdTechでありチェンジメイカーを育てるビジネスであったりは、この先しばらくは魅力的な業界であり続けるのでしょうね。
ダイバーシティ
ビジネスの世界ではこちらの言葉の方が、「違いを生む」という言葉からは連想しやすいかもしれません。
ダイバーシティとは「多様性」と訳されることが多く、経営に関わる場面では、社員一人ひとりが持つ違い(性別、人種、国籍、宗教、年齢、学歴、職歴など)を受け入れ、それぞれを価値として活かすことで、企業の競争力につなげようという考え方だといわれています。
最初から従業員一人一人に違いがあることを前提に、働かせ方・働き方にその違いを生かすことで、より強い競争力を生み出すことができるように取り組んでいこう、、、という内容で説明されることが多いです。
正しいように聞こえて、表面だけを取り繕う理屈であるかのような印象を受けなくもないのですが、全業界的に人手不足が叫ばれる昨今ですから、もし本当に上手に取り入れることができればやってみたい、、、という経営者は少なくないはずです。私も気になっているその一人です。
そこで探してみました。
新・ダイバーシティ経営企業100選 ⇒http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/index.html
(このサイトには『ベストプラクティス』なんてものもあります。)
こんなものもあります
『適材適所のススメ ダイバーシティ経営読本』⇒http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/pdf/20180314_keieidokuhon.pdf
「何が正しいか?」「あるべき姿はどういう姿なのか?」を時間をかけて考える前に、成功している事例を見ることの方が成功に近づく可能性が高いでしょうし、何よりも時間が無駄になりません。もちろん、セオリーや一通りの考え方は身に着けておくべきですから、この2つはダイバーシティを考えている方であれば目を通しておいてもよいのではないでしょうか。
まとめ
「違いを生み出す」という言葉から連想される言葉、考え方、取り組みを経済産業省のコンテンツを中心にまとめてみました。
まだまだ人と違うことを正面から認めて、そのことを生かしていこうという社会的な風潮が広まっているようには感じることが少ないのですが、「違いを生み出す」という言葉が肯定的に使われる場面が増えてくれば、少しづつ変わってくるのではないかと考えてます。
私も、違いを生み出せるようなお客様へのサポートであり事務所経営をしていきたいなと強く思っています。