節税保険 資産計上へ 改正通達6月ごろ発遣か
現在は生保各社が販売停止している、いわゆる「節税保険」についてですが、パブリックコメント募集期間が今月10日で終了しており、税務通信のNo.3554によりますと早ければ来月上旬には通達の改正が公表されるようです。
従来の「節税保険」
従来、この「節税保険」については、一番の特徴として全額損金算入することができました。
おそらく契約していたほとんどの法人が、保険本来の目的である保障ではなく、節税を目的としていたと思います。
支払時に利益対策として全額損金となる保険料を数百万円支払い、それを解約返戻率がピークとなる10年後まで続け解約。解約返戻金は雑収入ですから、当然その全額が利益となるのですが、その金額を退職金や設備投資などに充てるという使い方です。
改正案
今回の通達改正後の取り扱い(通達案)ですが、解約返戻率を基準に考えるものですので(ピーク時の返戻率が最低でも50%超のものから規制されます)、従来の全額損金タイプでなくとも長期平準保険などもその対象となる可能性があります。
その改正内容案は、以下の通りです。
ピーク時解約返戻率 | 資産計上の期間 | 資産計上額 |
---|---|---|
50%超70%以下 | 保険期間前半4割の期間 | 当期保険料×40%(6割損金算入) |
70%超85%以下 | 保険期間前半4割の期間 | 当期保険料×60%(4割損金算入) |
85%超 | 保険期間開始~ 解約返戻率ピーク時まで | 当期保険料×ピーク時解約返戻率×70% (開始から10年間は90%) |
85%超のものについては、ピーク時までとなっていますが、この区分については、解約返戻金の「額」の基準もあり、ある程度その額自体も下がっていかないと資産計上が続く仕組みになるようです。
改正後の商品としての扱い
そもそもこれらの保険について保障内容としては、解約を予定している期間(返戻率ピーク時)まではあまり魅力的なものではなく、返戻率の下降とともにようやく多少現実的な保障内容になっていったりするものなのです。
つまり、今回の改正後においては、多くても損金算入が6割しか出来ず、更に解約返戻金も半分しか返ってこないものということになり、逆に返戻金が増えるほど、経費性が下がるものとなるため、相当に商品としての魅力もなく、契約自体が現実的ではなくなるものと思われます。
既契約への遡及はしない
既に契約している節税保険についての適用が相当に気になっていたところではありますが、これについては遡及しないとのことなので、ひとまず安心された方も多いのではないのでしょうか。
来月ころ公表される見通しですが、実際の動きに注目していこうと思います。