国税庁 タックスアンサー No.1150 寄附金控除


今回は、所得税の「所得控除」となる寄附金控除についてです。

寄附金については、モノによっては「所得控除」と「税額控除」の選択が出来るというパターンがあります。

以下、所得控除となる寄附金控除について見ていきます。

 

概要

まず、その寄附が「特定寄附金」に該当するかによって、寄附金控除を受けられるかどうかが決まります。

また、その寄附金が「政治活動に関する寄附金」「認定NPO法人に対する寄附金」「公益社団法人等に対する寄附金」で一定のものについては、所得控除と税額控除との有利選択が可能となります。

 

特定寄附金とは

そして、特定寄附金の範囲ですが、以下のものとなります。

 

(1)国・地方公共団体への直接の義援金や、日本赤十字社中央共同募金会の被災者への支援のための義援金で最終的に地方公共団体に対して拠出される寄附金。

(2)公益社団法人公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人・団体に対する寄附金のうち一定のもの。

H23年度の税制改正により寄附金の税額控除の制度が創設されました。内閣府のHPに税額控除の対象となっている公益法人等の一覧があります。(これら以外の公益法人等への寄附については、所得控除のみとなります)

 

(3)特定公益増進法人(以下の法人)に対する寄附金
_イ 独立行政法人
_ロ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
_ハ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
_ニ 公益社団法人及び公益財団法人
_ホ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
_ヘ 社会福祉法人
_ト 更生保護法人

 

(4)特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭

特定公益信託とは何かということについて一般財団法人信託協会のHPに記載されています。

通常の信託銀行が扱っている信託商品のうち、その信託の目的が公益目的(奨学金支給など)のものがあり、そういった信託を行うことにより、その支出額が寄付金控除の対象となります。

(5)政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの(寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの及び政治資金規正法に違反するものを除きます。)

政治活動に関する寄附金については、総務省のHP「なるほど!政治資金」に記載されています。

基本的に政治資金規正法規定する政党・政治資金団体に対する寄附金がそれに該当します。政治資金規正法に違反するものを除きます、とありますので、例えば、量的制限としての総枠制限(個人からの寄附について、政党・政治資金団体に対するものであれば、2,000万円まで、その他の政治団体に対するものは1,000万円までなど)や個別制限(個人からの同一の相手先への寄附で、その他の政治団体に対するもの・公職の候補者に対するものについては150万円まで)など、一定の要件を満たすものに限られます。

(6)認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に対する寄附金で一定の物

NPO法人認定NPO法人については、内閣府NPOホームページによりますと、以下のように定義されています。

特定非営利活動法人
特定非営利活動法人(NPO法人)とは、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人です。(中略)

NPO法人を設立するためには、所轄庁に申請をして設立の「認証」を受けることが必要です。認証後、登記することにより法人として成立することになります。

認定特定非営利活動法人
特定非営利活動法人(NPO法人)のうち、直前2事業年度において一定の基準を満たすものとして所轄庁の認定を受けたものは、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)となります。

ですので、上記のうち、認定特定非営利活動法人認定NPO法人)に対する寄附金で一定の物について所得控除が可能ということになります。

また、全国にどういった認定NPO法人があるのか、ということについては、内閣府NPOホームページに検索システムがありますので、興味のある方はご覧ください。

(7)特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度とします。)

国税庁より

いわゆる「エンジェル税制」と呼ばれるものです。

エンジェル税制とは、簡単に説明しますと、新規性のある事業を開拓するため設立した法人で一定のものの発行する株式を払込により取得した場合のその取得金額を寄付金として所得控除しますよ、というものです。

払込により取得とは、既に発行されている株を譲渡等により取得することではなく、新規に発行した株式(資本金等となるもの)を取得することを言います。

エンジェル税制については中小企業庁のHPに詳細が記載されています。

寄付金控除額

国税庁HPより引用しますと、

次のいずれか低い金額-2千円=寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。

とあります。

まず、寄附をした金額のうち2,000円を超える部分について寄附金控除が出来ます。

出来るのですが、寄附をした金額と、その年の総所得金額×40%と比較していずれか低い方の金額が実際の寄付金控除(所得控除)の金額となる、ということです。

そして、総所得金額等とは、給与や年金などの総合課税となる所得だけではなく、不動産・株式の譲渡配当その他の分離課税となる所得も合計した所得金額を言います。

要するに、その年の全ての所得合計の4割までであれば、寄付金控除を認めますよ、ということです。

 

手続き

確定申告書にその寄附金について様々な証明書類を添付する必要があります。

具体的には、

1.寄附した団体から受ける受領証

2.特定寄附金の範囲で記載したそれぞれの団体のうち、一定のものについては、その団体である旨の証明書。

(例えば、特定公益増進法人であれば、特定公益増進法人として認定されていることの証明書など)

3.エンジェル税制については、更に、都道府県知事から発行された確認書やその個人投資家が寄付をした法人の同族株主に該当しない旨の確認書、など細かく証明書類を要求されます。

 

 

 

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