国税庁タックスアンサー No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか

今回は、No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるかについてです。

こちらは今年(2018年)からの改正が絡む点なので該当する方ご本人や企業内で年末調整を計算される方にとっては押さえておくべきポイントになります。

この件の登場人物は「納税者本人」「配偶者」の2名です。そして、配偶者控除の制度趣旨は、「配偶者の所得が低ければ、納税者の収入で生活していることは間違いないわけですから、少しだけ納税者の税負担を軽くしてあげましょう」というものになります。

今回もいきなり結論からですが、、、

結論

結論としては配偶者の年間の合計所得金額38万円以下であれば配偶者控除が受けられます。

あれ?それって昨年までと何も変わってないよね、と思われる方もいらっしゃると思います。

配偶者の所得金額に関してはその通りで、これまでと全く変わりません。

変わったのは「納税者本人」の合計所得金額に以下の様な制限が入ったことです。

納税者本人の合計所得が900万をこえると配偶者控除額に制限が入り、所得が増えるにつれ控除額が減らされて、1000万円を超える場合配偶者控除(配偶者特別控除も)は受けられなくなる、というものです。

いくら配偶者の生活が納税者の収入で賄われているとしても、合計所得金額が1000万円を超えるような家庭にまで配偶者控除を認めるのは公平性を欠くことになりはしないか?との観点からの改正だとされています。

公平性を欠くから実質的に得をしている方たちの税負担を増やすという方向性ではなく、公平性を欠くから実質的に損をしている方たちの税負担を軽くするという方向での改正もあったとは思いますが、ただでさえ火の車の台所事情がありますからね。税収全体を減らす方向へは動かしにくいでしょう。

 

疑問点

平成29年度の税制改正で決まっているこの配偶者控除の改正ですが、上記の結論だけを書いてしまうとさらなる疑問を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「あれっ?103万円の壁を取り除くって改正じゃなかったっけ?」という疑問です。

これは本当に勘違いされやすいポイントだと思いますが、103万円の壁を取り除くべく改正が行われたのは「配偶者特別控除」という制度になります。この制度は、もともとは配偶者の所得が38万円を超えても、突然に控除額を0にするのはちょっとおかしいだろうということで、控除額を段階的に減らしていく制度です。そして、この制度趣旨や仕組みは変えずに基準となる配偶者の所得額を引き上げることで「103万円の壁」の上限を引き上げたというのが今回の改正になります。

 

配偶者控除と配偶者特別控除はもともと連続する制度であって、これまでよりも配偶者の収入に対して寛容な態度をとりつつ、納税者本人の所得額については厳格な態度をとりバランスをとった、そんな改正であると理解できます。

 

まとめ

そうしますと、表題の問いを「配偶者の所得がいくらまでなら納税者が所得控除をうけられるか?」と変えてみると、以下の答えが結論になります。

まとめ
配偶者の所得が38万円までなら配偶者控除が受けられその控除額は38万円(給与収入だけなら103万円)となり、配偶者の所得が38万円を超え85万円以下なら配偶者特別控除が受けられその控除額は同じく38万円となる。 配偶者特別控除は配偶者の所得が123万円(給与収入だけなら201万円)まで受けられることになっていて、所得が85万円を超え123万円まで増えるにつれ控除額が段階的に減らされていくことになる。

図にすると以下のようになります。

表:納税者本人の所得制限

(財務省 平成29年度税制改正パンフレットより)

あと1か月もすれば、年末調整に向けての動きがスタートします。

今年はちょっと意識をして「配偶者の収入(所得)」を見ていかないといけない、そんな年末調整になりそうです。

参考 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて:https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/index.htm#faq

 

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