国税庁タックスアンサー解説 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

今回は、タックスアンサーの譲渡所得の一番最初にあるNo.1440についてです。

確定申告は通常、2か所以上の給与収入が有ったり、給与収入と年金収入が有ったり、医療費控除を受けたりと毎年同様の事柄で申告することを考えるかと思いますが、不動産の譲渡など資産を譲渡した場合にも申告する必要があります。

この場合の所得を、給与所得や年金などの雑所得という名称に対して譲渡所得と言います。

譲渡所得となる譲渡は多数ありますが、今回は土地や建物の譲渡をしたときの基本的な考え方についてです。

譲渡所得とは

譲渡所得とは、一般的に、土地建物株式ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にはなりません

 

このような、譲渡所得が生じた場合には、基本的に確定申告をする必要があります。そして、その中で土地、建物(不動産)を譲渡した場合について以下、見ていきます。

 

所得の計算方法(土地や建物の譲渡をしたとき)

譲渡所得の計算式は以下のとおりです。

収入金額ー(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額

(1)収入金額

 収入金額は、通常土地や建物を売ったことによって買主から受け取る金銭の額です。
しかし、土地建物を現物出資して株式を受け取った場合のように、金銭以外の物や権利で受け取った場合にはその物や権利の時価が収入金額となります。

つまり、不動産の売買契約書上の売買金額が収入金額となります。

 

また、不動産の売買の場合、固定資産税の精算が通常なされますが、こちらの金額も含めた金額となります。(国税庁質疑応答事例

 

(2)取得費(No.3252でご説明いたします。)

(3)譲渡費用(No.3255でご説明いたします。)

(4)特別控除額

土地や建物を譲渡した場合の特別控除額は以下の通りです。

それぞれ一定の要件を満たし、添付書類を提出することで適用が可能となります。

  1.  収用等により土地建物を譲渡した場合 ・・・ 5,000万円
  2.  マイホームを譲渡した場合 ・・・ 3,000万円
  3.  特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 ・・・ 2,000万円
  4.  特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合 ・・・ 1,500万円
  5.  平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合・・・1,000万円
  6.  農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 ・・・ 800万円(注1)(5)以外の特別控除額は、長期譲渡所得、短期譲渡所得のいずれからも一定の順序で控除することができます。(5)の特別控除額は、長期譲渡所得に限り控除することができます。(注2) 長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物を、また、短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物をそれぞれ譲渡したことによる所得をいいます。(注3) 土地、建物の譲渡所得から差し引く特別控除額の最高限度額は、年間の譲渡所得全体を通じて5,000万円です。

これらは全て租税特別措置法(以下、措法)に規定されている特別控除となります。

それぞれ、以下の条文に規定されています。

1.収用等により土地建物を譲渡した場合 措法33条~33の6条

2.マイホームを譲渡した場合 措法35条

3.特定土地区画整理事業 措法34条

4.特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合  措法34条の2

5.平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 措法35条の2

6.農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 措法34条の3

 

今回は、特別控除額についてのみ触れました。

2.のマイホームを譲渡した場合につきましては、過去の記事で詳細に触れていますのでそちらをご覧ください。(こちら

 

税額の計算方法

土地や建物などの不動産の譲渡については、分離課税と言って、給与や年金などの所得とは合計せずに、その譲渡単体で税率が以下のように決まっており、それにより計算します。

(1)長期譲渡所得 15% (住民税5)

(2)短期譲渡所得 30% (住民税9%)

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