国税庁タックスアンサー解説 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金(具体例)
コラム(相続税がかかる財産)でも書きましたが、被相続人が死亡した場合に、相続人が受け取った生命保険金や損害保険金については、被相続人が元々所有していた財産ではないものの、みなし相続財産として、相続税が課税されます。
そして、その受取った死亡保険金のうち、500万円×法定相続人の数までの金額が非課税限度額となり、課税されないこととなります。
課税される場合
死亡保険金について、相続税が課税される場合は、以下の通りとなります。
保険料負担者:被相続人
被保険者 :被相続人
保険金受取人:相続人等
相続税が課税される死亡保険金は、被相続人の死亡により受取る保険金ですので、被保険者は被相続人に限定されます。
具体例
非課税限度額を超えて保険金を受け取った場合の具体例です。
(相続人が受け取った合計額が非課税限度額以内であれば、全て相続税がかかりません)
例1(相続人5人、うち2人が養子。放棄者なし)
前提条件
被相続人:甲
相続人 :乙(配偶者)、A(子)、B(子)、C(養子)、D(養子)
死亡保険金 :1億円
保険料負担者:被相続人甲
被保険者 :被相続人甲
保険金受取人:相続人乙 3,000万円、A 4,000万円、D 3,000万円
非課税限度額:500万円×4人(法定相続人の数)=2,000万円
法定相続人の数は、養子以外の相続人の数3人(乙、A、B)+養子(C or D)1人で4人となります。
法定相続人の数に算入できる養子の数は、別コラムで書きました通り、実子(この例ではAやB)が1人以上いる場合は、1人までとなります。
(この例で、もし相続人が乙、C、Dであれば、実子がいないので、2人算入できます。)
各人の非課税金額:
乙 2,000万円×3,000万円/1億円=600万円
A 2,000万円×4,000万円/1億円=800万円
D 2,000万円×3,000万円/1億円=600万円
各人の課税される生命保険金:
乙 3,000万円(受取金額)-600万円(非課税金額)=2,400万円
A 4,000万円(受取金額)-800万円(非課税金額)=3,200万円
D 3,000万円(受取金額)-600万円(非課税金額)=2,400万円
例2(相続人5人、うち養子2人。放棄者あり)
前提:
被相続人:甲
相続人 :乙(配偶者)、A(子・相続放棄)、B(子)、C(養子)、D(養子)
死亡保険金 :1億円
保険料負担者:被相続人甲
被保険者 :被相続人甲
保険金受取人:相続人乙 3,000万円、A 4,000万円、D 3,000万円
非課税限度額:500万円×4人=2,000万円
法定相続人の数は放棄があってもその放棄が無かったとした場合の相続人の数+養子の数となりますので、例1同様4人となります。
各人の非課税金額:
乙 2,000万円×3,000万円/6,000万円(Aの分を除いた保険金総額)=1,000万円
A 0円
D 2,000万円×3,000万円/6,000円=1,000万円
死亡保険金の非課税金額は、あくまで相続人に対するものであるため、相続の放棄をした人は相続人に該当せず(民法939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」)、相続税の死亡保険金の非課税の規定からも除外されます。よって、Aの非課税限度額は0円となります。
そして、放棄をした人以外の非課税限度額は、放棄をした人の限度額を分け合う形となります。
つまり、放棄があってもなくても、非課税限度額の合計額(今回は2,000万円)は変わらないということになります。