国税庁 タックスアンサー No.1110 雑損控除
今回は、No.1110の雑損控除についてです。
お持ちの資産(生活に通常必要な動産・不動産)について災害・盗難・横領があった場合には、一定額について所得控除できるという制度で、確定申告が必要なものの一つです。
雑損控除とは
まず、雑損控除の定義ですが、国税庁のHPによりますと、次のように書いてあります。
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
(引用元:国税庁)
資産について、ですから、所有物に対する損害ということですね。
また、所得控除ですから、合計所得金額から差し引くことが出来ますが、税額控除ではないため、その納税者の所得金額によっては、控除できる税額には税率分の差が出るということになります。
・所得税率5%の人は、雑損控除額の5%が税額控除され、
・所得税率が33%の人は、雑損控除額の33%が税額控除される
ということになります。
所得控除は、所得が高い人ほど税控除額が高くなり優遇されるため、これを所得税の逆進性と言います。
話がそれました。
対象資産の要件
損害を受ける資産についての要件ですが、こちらも国税庁のHPに、次のように記載があります。
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。
(1) 資産の所有者が次のいずれかであること。
_イ 納税者
_ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者
(2) 棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。
(注) 「生活に通常必要でない資産」とは、例えば、別荘など趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個又は1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいいます。
(引用元:国税庁)
売るための資産や事業で使っている資産、生活するのに通常必要ではない資産(趣味・保養目的の資産)、についてはこの規定の適用は受けられませんよ、ということですね。
損害の原因
雑損控除を受ける場合のその損害の内容です。
次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
(引用元:国税庁)
自然災害・人為災害・害虫による災害・盗難・横領ということなのですが、一番大切なのが、「詐欺・恐喝」については雑損控除が受けられない、ということです。
控除額
そして、実際に控除できる金額です。
次の二つのうちいずれか多い方の金額です。
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
(注)
1.損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。
2.「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。
(引用元:国税庁)
差引損失額は、次の金額です。
差引損失額=
損害を受けた資産の時価(or減価償却後の金額)
+災害のためにやむを得ずした支出(盗難・横領のための原状回復含む)
ー災害で下りた保険金(損害保険金・損害賠償金)
となります。
保険が下りている場合はちゃんと引いてくださいね。
申告手続き
確定申告書の第一表の所得控除の雑損控除欄(申告書Aの場合:第一表⑰・第二表⑰、申告書Bの場合:第一表⑩・第二表⑩の欄)に記載をし、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収書を提出するか提示することが必要となります。
申告書A表の場合は⑰ですね。
申告書Bの場合は、⑩となります。